やりたいことをしようとするときに、気が重くなるのは実はいいサイン
コーチングの用語で「サボタージュ」というものがあります。
クライアントさんが何かをしようと決めた後によく出てくるもので、
例えば、
・「独立したい!」 ⇒ でも奥さんに「はあ?あんた何言ってんの?」と言われそうだな。。。
・「私は実はアロマが好き。夫にアロマの講座に通いたいって言ってみよう」⇒ でも夫に「なんでそんなのに行かなきゃいけないの?」と言われそう
・「世界一周旅行に行きたい!」 ⇒ お金もないし、会社も休みが取れないだろう。。。
などなど。上げようとしたらいくらでもあげられます。
サボタージュは脳の作用
サボタージュというのは、このように何かをしたいときに、「どうせお前にはできないだろ」と耳元でささやいてくる「悪魔のような声」とも言えます。
ここでいったん、なぜサボタージュというものが存在するのかを書いてみましょう。
脳はもともと現状維持を好むようになっています。脳神経的には「コンフォートゾーン」とも言ったりするようなのですが、「コンフォート=心地いい」という言葉にもなっているように、脳は実は新しい刺激はあまり好まず、「すでに経験した状態」を好みます。
このコンフォートゾーンというのは実に面白いもので、例えば人は一般的には「もてたい」と思ったりするものだと思いますが、「もてすぎる」とそれはそれでなんとなく落ち着かない気持ちになって、せっかく「もてている」のにも関わらず、わざと「もてないよう」なしぐさをしたりするのです。
このコンフォートゾーンは実はいい方に働くこともあって、例えば学校での成績の順位がいつもは50番くらいなのに、100番くらいになると、「ここは自分の場所ではない」と脳が判断して、その後頑張って50番くらいに戻すように作用するのです。
ここでの「戻す」というのがポイントで、脳は常にいつものコンフォートゾーンに「戻ろう」とするのです。
コーチングで「何かしたい!!」という魂の願いのようなものが出てきた後に、いわゆる現実的な「そんなことできっこない」という声が頭のどこかでささやいてくるのは、まさにこのコンフォートゾーンに戻らせようとする脳の反応であると言えます。
サボタージュがいいサインなわけ
サボタージュが出てくるというのは、まさに脳が「いやいや、そんな未体験な大冒険、耐えきれないかもしれないから困る!!」とリスクを回避しようとサインでもあります。
では、それがなぜ「いいサイン」なのでしょうか。
それはずばり、「とてもダイナミックな人生に向かっている」という証拠だからです。人生は、行動した分だけ自分にとっていいように返ってきます。
これは自分のこれまでの行動を振り返っても、人のことを見ていても断言できます。
せっかく魂の声が「これをしたい!」という声をあげたものをやらないのではこの世に生を受けた意味すら否定することになりかねません。
人によっては、「サボタージュが出てこないことをやっても面白くない」とまで言う人もいます。それくらいサボタージュは「おいしい」サインなのです。
サボタージュのその先に
では、そのサボタージュ、どのようにクリアしていけばいいのでしょうか?
答えはある意味では最も難しく、ある意味ではもっとも簡単なのですが、
「行動すること」
です。
サボタージュは、その段階ではまだ行動していない中で見ている「妄想」のようなものです。
妄想は、あくまで幻であり、幻想です。その幻想を打ち破るには、「やってみる」という方法しかありません。その行動はとても大きな行動となるでしょう。
決して大きな一歩でなくてもかまいません。少しだけ前進してみる。例えば夢を人に語ってみる、こんな希望を持っているということを話してみる。それだけで何か動き出すかもしれません。
コーチングでは、必ずサボタージュが出てきます。それは厄介なことでもありますが、とてもいいサインです。
私もコーチとして、いっしょにサポートしながら、「サボタージュの先にあるもの」を一緒に見ていきたいと思います。